視察先 :茨城県阿見町
視察内容:「議会モニター制度」「あみ議会報告&交流会」について
1.はじめに
阿見町は、霞ケ浦をはじめとする豊かな自然に恵まれ、旧石器時代の遺跡や縄文時代中期の貝塚などが点在し、古代より人の営みがあった地域です。近代に入り明治22年には、阿見町の旧村である阿見・朝日・君原・舟島の4村が誕生し、明治時代の後期には、台地部の阿見原において開拓が進められ、次第に豊かな農村地帯に生まれ変わっていきました。また,大正時代に入ると,阿見原に霞ヶ浦海軍航空隊が設置され,昭和14年には海軍飛行予科練習部(予科練)、翌年に土浦海軍航空隊が設置されるに至り,海軍のまちとして全国的に知られるようになりました。現在は、予科練平和祈念館が設置されています。
昭和30年には,旧4町村(阿見町・朝日村・君原村・舟島村の一部)が合併し、現在の阿見町となりました。その後、昭和47年には筑見団地や阿見台団地が完成するなど次々と住宅団地の開発が進み、昭和55年の福田工業団地をはじめ、筑波南第一工業団地(香澄の里),阿見東部工業団地も造成され、現在に至ります。
発展目覚ましい茨城県内にあって,とりわけ急速な発展を遂げた県南地域に位置する阿見町は,豊かな自然環境のなかにあって職・住と自然が調和した町として発展を続けてきました。
今回、議会運営委員会の行政視察地として快く受け入れていただき、阿見町議会からは高野好央副議長、筧田聡広聴広報特別委員会委員長、栗原宣行副委員長が出席されました。質疑応答では、議会モニター制度や議会報告会についてさまざまな質問をさせていただきました。それらの質問と、質問に対する回答を通じて、それぞれの議会報告会等についての意見交換が行われ、充実した研修となりました。
さらに、同町にある予科練平和祈念館を見学する機会までご案内いただきましたこと、衷心より厚く御礼申し上げます。
阿見町議会の皆様議会事務局の皆様、大変ありがとうございました。
(阿見町議会概要から抜粋)
人口 2024年9月1日現在 50,183人 22,145世帯
議員 18人 平均58.3歳 3常任委員会
阿見町ホームページ及び配布資料より抜粋
2025年2月14日発行議会だより(議会報告会掲載)
https://www.town.ami.lg.jp/cmsfiles/contents/0000000/243/gika i_183.pdf
予科練平和祈念館
https://www.yokaren-heiwa.jp/
2.視察項目
(1) 議会モニター制度について
阿見町議会では、議会改革の1つとして、町民からの要望、提言、その他の意見を広く聴取し、議会改革・活性化の推進及び政策提案機能を強化することを目的に「議会モニター制度」を導入しました。
【活動内容】
(1) 会議の傍聴やユーチューブ阿見町議会公式チャンネル内のコンテンツの視聴をして、議会の運営に関するご意見を求めます。
(2)「あみ議会だより」や「阿見町議会ホームページ」などに関するご意見を求めます。
(3) 議長が依頼する町議会の運営に関する調査事項に回答します。
(4) 町議会議員と1年に1回以上、意見交換を行います。
(5) その他議長が必要と認めることにご協力してもらいます。
【任期】 1年
【質疑事項】
⑴ 募集要件
募集方法は、ホームページ及び議会だより
報酬は無償、費用弁償支給 2022・2023年度は5,000円図書カード配布
募集人数 定員20人
採用条件 ICTのスキルがないと厳しい
⑵ 議会改革活性化・政策提案機能強化に結び付いた事例
2023年議員カフェ(素案)報告を基に2024年から広聴広報特別委員会設置
⑶ 政策形成への反映
聴取した意見は、常任委員会において政策形成の参考とする
議員報酬と議員定数は、大変苦慮している
⑷ 議会モニターのなりて確保
議員が知り合いに対して声掛け
メールでのやりとりができないと厳しい
⑸ 議会モニターの創造性発揮するための議会側のアプローチ
ワールドカフェ方式を挿入し、意見が出やすいように工夫している
その他、苦労している点や新たにこうしていきたい点等ざっくばらんに意見交換をさせていただきました。貴重かつ有意義な機会となりました。


⑵ あみ議会報告会&交流会
阿見町議会では、阿見町議会基本条例に基づき、開かれた議会を目指した議会報告会を開催しています。これまで10回に渡って開催してきましたが、第11回目となる令和6年度の議会報告会は、タイトルを親しみやすいものに改めるとともに、普段は入ることができない議場で開催しました。
ホームページ https://www.town.ami.lg.jp/0000013575.html
(開催概要)
日時 令和6年11月17日(日曜日)午後1時30分~午後4時
場所 阿見町役場4階 議場・議場前ロビー
内容 第1部:議会活動の報告会(30分) ※議場にて
第2部:報告テーマで議員とトーク(30分) ※議場前ロビーにて
第3部:議員とフリートーク(60分) ※議場前ロビーにて
参加者 26人
【質疑事項】
⑴ リニューアルした経緯
参加者が低迷していた報告会を、より親しみやすく、参加意欲がわくような内容に改めた。
⑵ 新たな成果と課題
議場での開催は好評。議席に着座して、主権者意識を醸し出した。
今後、参加者の再参加によって、同じ意見が集中しないか、マンネリ化懸念
⑶ 参加者増やす取組
普段は入れない議場を会場にしたこと
親しみやすいチラシ作成
ホームページ掲載とメールマガジン送信、LINEのアクセス促す
⑷ 議会モニター会議との棲み分け
議会モニターは特定の少数から狭く深い意見が聴取できる
議会報告会&交流会は、一般町民の不特定多数で広く浅い意見になる
議会に限らない町政の幅広いものとして聴取している
3.所感
この度の、議会運営委員会による行政視察、特に阿見町議会の議会モニター制や議会報告会&交流会について、大変収穫の多いものとなり感謝に堪えません。
さて、議会モニター制度については、専門家が分析するところによれば、議会モニター制度を採用している4議会(北海道芽室町議会、浦幌町議会、岩手県北上市議会、宮城県登米市議会)の議会モニター制度の課題として、①なり手不足の問題。公募しても手が挙がらず、メンバーを集めるのに苦労している議会が多いこと。②モニター自身の制度の趣旨、役割の理解不足。これはお願いでなってもらっていることとも関係し、モニターの主体性が発揮されていないことに原因があること。③モニター会議そのものの進行の仕方である。従来の審議会の様な会議スタイルだけでは、モニターの創造性はなかなか発揮されないこと。④聴取した意見の反映方法で、モニター制度の担当が広報広聴委員会であるケース等、委員会の意見を議会の総意とし、改善を進めていくことに苦慮していることなどをあげています。
総じて、議会モニター制度は、まだまだ試行錯誤、進化発展の過程にあり、本市の導入については、現在の議会広報委員会議会だよりモニター制度との棲み分けや、謝礼・費用弁償等の予算、定数や任期など要項策定に際し、多くの検討事項が存在していることも明らかになったと思います。
議員のなり手不足、投票率の低下、市政への無関心が重要な課題となっている現在、ハードルを下げた形の議会モニター制度の創設に向けて、議論を始めていく必要があります。
次に、議会報告会&交流会については、問答無用、一択で本市でも行っているスタイルを継続するとともに、市民のニーズを的確に取り入れながら発展させていくことが必要です。阿見町の視察を契機に、議会改革のなかで、大変重要な項目であると痛感しました。

(写真)阿見町役場議場にて(筆者は左端)