視察先 :青森県十和田市議会
視察内容:「とわだ産品販売戦略」について

1.はじめに

観光と農業のまち十和田市は、2005年1月、新設合併により誕生し、青森県の南東部中央に位置し、国の特別名勝及び天然記念物に指定されている神秘の湖「十和田湖」や千変万化の流れを織りなす「奥入瀬渓流」、秀峰「八甲田」などの豊かな自然を有するとともに、県内トップクラスといわれる安全安心でおいしい農畜産物の生産地帯や、「近代都市計画のルーツ」といわれる整然と区画された日本三大開拓地の「市街地」で形成されています。

十和田市が位置する上北エリアは「三沢市」「野辺地町」「七戸町」「六戸町」「横浜町」「東北町」「六ケ所村」「おいらせ町」で構成されています。太平洋と陸奥湾、八甲田山系に囲まれ、ほぼ平坦な台地が広く分布しています。地域の南側を、十和田湖を源とする奥入瀬川が西から東に流れ、太平洋に達し、北部太平洋側には、小川原湖などの湖沼が点在しています。冬は晴天の割合が多く雪が少ない地域で農業物の産出額が青森県で最も高い地域でもあります。酪農、肉用牛、養鶏、養豚などの畜産業と、ながいも、にんにく、ごぼうを始めとする野菜栽培が盛んです。

十和田市と本市とのかかわりで言いますと、寒河江八幡宮古式流鏑馬保存会の駿馬を十和田市よりお借りしているとのことです。鎌倉の歴史と文化の共有、共通点を見出すことができました。

直近の人口:57,000
一般会計 :38,190,000千円 2024年度当初
議員定数 :22人 副議長が辞職退職し、市長に初当選したため、現在21人 平均年齢61.9歳

十和田市議会だより https://www.city.towada.lg.jp/shisei/gikai/gikaidayori/2024-1029-1019-175.html

アートのまち 官庁街通りの櫻並木

十和田市櫻流鏑馬

【参考】県指定無形文化財 寒河江八幡宮古式流鏑馬

寒河江八幡宮は、今から約800年前の建久2年(1191)、大江親広によって勧請されました。親広の父、広元が鎌倉幕府の重臣だったので、寒河江も鎌倉とそっくりのまちづくりをし、寒河江城の西に八幡宮を置き、流鏑馬(やぶさめ)を導入したのです。寒河江城古絵図の八幡宮のところに馬場が描いてあり、また八幡宮拝殿に宝暦12年(1762)の流鏑馬絵馬が残っていることからもわかります。江戸時代のなかごろまで、本格的に、走る馬上から的を射る流鏑馬が行われていました。この日は放生会(ほうじょうえ)といって、舟橋川に生きた鳥や魚を放す儀式が行われていたこともわかります。この放生会に流鏑馬を行う形式は、鎌倉八幡宮と同じでした。9月に入ると祭りの準備が始まります。昔は村山地方一円から数頭の馬を選びそれぞれが分担して馬場の柵結い、馬の世話、行事の準備をしました。9日から1週間、馬に乗る人と京参乗り(きょうさのり)という男の子が八幡宮にこもって身を清めて祭りにそなえました。現在は一週間もおこもりはできなくなりましたが、節目の行事は「流鏑馬保存会」の人たちにより、今もしっかりと守り伝えられています。12日、3頭の馬が来て、馬場ならしと鞍祭りを行い、安全を祈ります。15日がいよいよ全国的にも珍しい「馬走り」の本番です。神事のあと、「古式流鏑馬」を行います。保存会の騎士たちが、次々に3つの的に走る馬上から矢を射ます。命中するたび、バシッと大きな音がして、観客から歓声が上がります。3本の矢を全部当てた人は、京参乗りから白い布を褒美に贈られ、これはもらう時、弓で受け取るのです。次が翌年の稲の作柄を占う「作試し流鏑馬」です。少年が金棒を引いてきて、そのあと3頭の馬が走ります。一の馬、二の馬、三の馬と早い順に出発させるのですが、その年によって勝負の順番は変わります。順序よくゴールした年は作柄は順当、一の馬が勝つと早稲(わせ)、二の馬が勝つと中稲(なかて)、三の馬が勝つと晩稲(おくて)が豊作と予想するのです。寒河江や近くの町村からたくさんの人々が見物に来てにぎわいました。「馬走り」は昔から寒河江の秋の風物詩でした。寒河江地方は、平安時代から有名な馬の産地でした。このことも馬走りが続いてきた理由かもしれません。

  (寒河江市ホームページより抜粋)

 

2.視察項目

2022年農業産出額 東北6位を誇る
とわだ産品販売戦略について

【事業内容】
■農商工連携・6次産業化の推進
1.農商工が結び付いた地域内連携の推進
地域の農業関係者、流通業者、加工業者、販売業者などによる連携強化や相談活動を積極的に展開し、情報発信や交流会による事業間の交流促進を図ります。

◇対策
① 6次産業化普及啓発の取組において異業種間の交流機会を創出します。
② 商品開発支援や相談活動において、一次産業者と流通・加工。販売業者の連携を推進するとともに、マッチング機会を創出します。
③ 農商工及び農泊並びに農福連携に係る相談体制を構築します。

◇関連事業
・6次産業促進支援事業 ・とわだの逸品開発事業
2.地域資源の付加価値を高めた加工品づくりの推進
地域の農林水産物を利用した食品開発などによる差別化が図られる価値の高い加工品づくりを推進します。

◇対策
① 整備した食品加工室の活用を推進し、6次産業化を目指すための試作や、小規模の食品加工から始めたい事業者の支援に努めます。
② 加工に関する研修会など、知識や技術習得の機会を提供します。
③ 本市の特産物を活用した付加価値の高い新商品の開発やブラッシュアップを支援します。
④ 業務用需要に対応した B to B の取組事業者の支援に努めます。

◇関連事業
・とわだの逸品開発事業 ・全国規模商談会出展事業 ・バイヤー等産地招聘事業
87事業者 204商品
今年度新紙幣発行にちなんだ商品 2つ開発

ふるさと納税 2024年度 127,060千円  返礼品数311
黒ニンニク 十和田バラ焼き アップルパイが人気

特産品
日本一のニンニク 十和田バラ焼き 長芋 ごぼう ねぎ
十和田和牛 十和田ポーク 十和田奥入瀬ひめます
おいしい水 土壌分析による土づくり ブランディングの基本
認証制度はなし

【質疑事項】
⑴ガイドブックの発行部数と効果について
十和田市の特産品を紹介するガイドブックを2000部発行しています。野菜をは じめ、十和田市には魅力あふれるたくさんの特産品があります。このガイドブックでは、定番商品から新しく誕生した商品まで、素材の良さがつまった「とわだ産品」を紹介しています。自然に恵まれた十和田市で生まれた「とわだ産品」のお土産を選ぶ際にもたいへん参考になりました。 
SNSフォロワー 6000人
人気キャラクター りんごちゃんによる観光大使アンバサダー
青森フェアのトップセールス
バイヤー招聘 
十和田ファミリーズ キャラクターのPR

⑵新たな産品を作り出すことの取り組みについて
食品133に対し 多くの取り組み 逸品開発事業など
①日本野菜ソムリエ協会と連携 料理実践と情報発信
②食材サンプルの提供 30店舗
③十和田湖 ひめます 養殖  生産力低下傾向
④首都圏レストランとの連携 ポルシェレストランでイベント
⑤ニンニク認知度の向上 10月29日ニンニクの日
⑥販路開拓事業支援

⑶バラ焼き等の有名品がヒットした要素について
①十和田バラ焼きゼミナール開催
②B1グランプリ ゴールドグランプリ受賞
高校生による特産品開発と実践

写真 行政視察 質疑応答の状況

 写真 太田議員の代表挨拶

3.所感

本市のさくらんぼをはじめとする特産品は、昨シーズン残念ながら、サクランボの生産量が全国1位の本県で、歴史的凶作が現実になりました。一昨年夏の高温の影響で2つの実がくっつき、商品価値が落ちる「双子果」が激増、シーズンに入ってからの暖冬、多雨、高温がサクランボにダメージを与え、収穫高は昨年の半分となり、JA関係者は「歴史的凶作」を口にしながら、気候の変化に弱い山形サクランボの象徴「佐藤錦」は、別のサクランボに品種替えを余儀なくされています。予想大幅に下回る収穫量となったわけですが「佐藤錦」や「紅秀峰」、次代のエースの期待がかかる大粒の「紅王」ですが、JA関係者は吉村知事に、スプリンクラーなど暑さ対策の設備導入や、暑さに強い品種開発などへの支援を緊急要請し、知事も「サクランボは山形のシンボルで、地域経済にも関係する特別なものだ。意見を踏まえて対応する」と応じたものの、特効薬があるわけではない。長年サクランボ王国・山形を支えてきた「佐藤錦」について、「(別の)品種に入れ替えないといけないかもしれない。ただ、全国で圧倒的なシェアを誇る山形のサクランボを守り続ける」山形サクランボの作付面積の70%を占める「佐藤錦」は、甘みと酸味にバランスが良く、色づきも美しいため抜群の人気を誇る。だが、猛暑や暖冬、多雨、雹害といった気候の影響を受けやすいとされる。〝寡占的な栽培〟で危険分散できず、今年のような「凶作」を招いたともいえます。歴史的な凶作に見舞われた山形サクランボが、大きな岐路に立たされています。

今回の行政視察で、特産品開発の困難性やフルーツ・ツーリズムの前提となる果樹栽培の土づくり、土壌改良など自然との共存と成功する難しさを痛感いたしました。また、情報発信基地の必要性を強く感じました。さくらんぼ情報が消費者に伝わっていないがために、昨シーズンはさくらんぼパニックが起きたからです。こうしたことは、絶対に避けなければなりません。

最後に、「ピンチをチャンスに!」この言葉は、長年お世話になっています市内の社会奉仕団体の名誉会長が、経営者である会長が株価急落でどん底に突き落とされ同じような経験を踏まえ、生産農家の苦悩をねぎらって話されました。特産品であるさくらんぼがなければ、寒河江市の全産業が衰退の一途を辿ってしまう可能性は否定できません。

今後、さくらんぼのまち推進条例を基に、私たち議会を含め、全市民の英知を結集して、この難局を乗り切っていくしかありません。私も、その一人として、全力で活動してまいります。

4.むすびに

この度は、大雪暴風雪警報が発令され、新幹線及び在来線の遅れや運休、計画運休が予定されていたにもかかわらず、幸運にも当初の予定通り行政視察をさせていただくことができました。十和田市議会石橋義雄議長様はじめ事務局の皆様、そして担当課の農林商工部 とわだ産品販売戦略課の課長はじめ職員の方々に対しまして、お忙しいところ時間を割いていただきましたこと、議員団一同衷心より厚く御礼申し上げる次第でございます。

(写真)十和田市議会議場にて(筆者は右端)