視察先 :沖縄県うるま市
視察内容:「農業振興プロジェクトについて」

1.はじめに

うるま市は、沖縄本島中部に位置し、人口125,977人(20221月時点)、面積87.0㎢の沖縄県で3番目の規模を誇る都市です。「うるま」とは、沖縄の方言で「サンゴの島」という意味があり、市内の月別平均気温は1729℃のため、どの季節も温暖で過ごしやすいのが特徴です。
代表的な観光スポットには、世界遺産に認定された「勝連城跡」や、白い砂浜と青い海のコントラストが美しい「宇堅ビーチ」などが挙げられます。「勝連城跡」は、15世紀に琉球王国の国王、尚泰久王(しょうたいきゅうおう)と戦い敗れた按司の阿麻和利(あまわり)が住んでいたとされる城跡です。現在は、首里城跡と並んでユネスコ世界遺産に認定されています。城跡の頂上は、絶景スポットとして知られており、知念半島や沖縄北部の自然豊かな地域「やんばる」を一望できます。夕日や夜景も綺麗に見えるので、どの時間帯にいっても楽しめます。最近では、「開かれた世界遺産」として全国にアピールするため、コスプレなどのイベント会場としての使用もはじまっています。

うるま市ホームページより抜粋 https://www.city.itoman.lg.jp/

2.視察項目

農業振興プロジェクトの商品開発について

質問事項
①これまでの実績と人気ランキング
 1位 マンゴウ  2位 アップルバナナ  3位 さつまいも加工
 モズク生産量日本一

②観光客のお土産品評価の集約方法
 特になし アンケートなど

③独自のオリジナル商品の著作権
 いぐさ 畳の材料を食に青汁

④広報・PRの課題
 イベント開催で広げる

⑤農業・商工業との連携
 6次産業化の加工品開発
 うるマルシェの効果
 酒蔵 4軒

⑥商工業におけるブランド品など実績
 ふるさと納税 沖縄県内第1位 

⑦観光業における観光誘客の実績
 エイサー祭り 12万5千人 17億円
 コスプレフェス 2日間7千人 うち600名は九州など県外から

⑧貴市全体の経済効果
 闘牛 ロードレース エイサー祭りなど

 ⑨今後の課題と展望
 県内自治体の競争に勝ち抜くオリジナル性を追求

うるま市農水産業振興戦略拠点施設「うるマルシェ」

①概要
うるま市農水産物に特化した農水産物直売所、加工施設、飲食施設等の複合機能を有機的に連動させ、スケールメリットを生かした需要喚起とさらなる供給拡大の相乗効果を図り、本市生産品のブランド化による販路拡大、地産地消、地産外商、6次産業化を推進し経営耕作地及び生産量の拡大、担い手の確保・育成など、第一次産業の持続・振興的な発展に寄与する施設

豊富な農産物が並びにぎわう「うるマルシ」ェ店内全景

②基本理念と予算
「食を通じてうるま市を元気にする」 経済成長エンジン
2018年開設  予算
沖縄振興特別推進交付金 18億円
うるま市予算      9億円 合計 27億円

③施設の魅力満載
営業時間  9:00~20:00
農産水産畜産品直売所  生産農家が出荷販売 やりがいと収入が連動
イベント広場      土日祝日にお祭りや舞台を披露 発表ステージ
産直レストラン     地元産農畜水産物を使ったメニュー
産直加工品販売ブース  ご当地バーガー 沖縄そば ヤギ汁など
キッチンスタジオ    野菜ソムリエやシェフによる料理教室が人気
加工施設        ベーカリー・ジェラート工房 規格外品の活用
情報エリア       情報共有 学びの場 うるまなびマルシェ

④農家及び漁家の出荷者登録状況と売上実績 2022年
会員数     1030名 農家が35% 漁家15%
売上      15億円 うち4億円が農家に還元
来場者数    118万人
海豚・うるま牛 生産農家の全量買い取り
海産物     漁師から全量買い取り
契約栽培・契約出荷により市内の生産者・漁家の産直をバックアップ

⑤ブランド品開発
うるまの海豚 うるま牛 レトルト食

⑥6次産業化と加工施設の状況
契約期間2年で更新
小麦・大豆文化復活
うるまの台所 牛汁

⑦飲食施設の人気ランキング
いいだこ お魚のバター焼き

⑧ふるさと納税返礼品
2023年 3億円
1位 塩
2位 観葉植物
モズクの生産量日本一

3.資料

⑴ 移住定住のPRサイト

都会と田舎両方の良さを兼ねているうるま市

うるま市内にはスーパーやコンビニ、大型ショッピングモール、病院などがずらりと立ち並んでいます。鉄道は走っていませんが、沖縄バスや那覇バスなどの4社のバスが運行しているため、車を持っていない方でも、市内外に気軽にアクセス可能です。
市内はエメラルドグリーンの東シナ海に囲まれており、サマーシーズンは、シーカヤックやサーフィン、ダイビングなどのマリンアクティビティが楽しめます。また、うるま市に属している伊計島や宮城島などの8つの離島には、沖縄の大自然や伝統的な住宅が残存。そのため、「緑豊かな田舎に移住したいが、便利な都会も捨てがたい」という方の移住にもおすすめです。

⑵ 生産者の皆さんの声

生産者の紹介のほかに、特産品の魅力についてアップされています。これは、本市の農業の将来に向けて学ぶべきサイトです。下記は、これらからピックアップしたものです。

過疎化が進み、子育て世代は激減、学校も廃校の危機という津堅島では、耕作放棄地が激増しています。 うるマルシェではこの課題の解決に少しでも役に立ちたいという思いで、2021年にうるま市の協力の元、1ヘクタールの耕作放棄地を確保し小麦を植えました。 再来年には5ヘクタールの耕作放棄地に麦を植える予定です。 なぜこの様な取り組みを始めたのか?というと、、、、 島で稼ぐことができれば、この風光明媚な土地に子育て世代が移住してくるはずだ、、、という思いで、移住者の為の仕事を創出する取り組みを始めています。 小麦を育て、収穫した小麦を使って加工品を作る。そこに労働力が必要になる。子育て世代でかつ移住をしたいとお考えの方を雇用することで、過疎化を少しでも防ぐことができるのではないか?そう考えた上で始めた直営農場になります。 うるま市を中心に沖縄県内で自然栽培で育てられた 『島麦かなさん』を使った、うるマルシェでしか購入できない商品がたくさんあります。 うるマルシェオリジナルの商品から、うるマルシェに出品いただいている事業者の皆様が、 県産小麦の消費拡大への取り組みにご賛同いただき、たくさんの商品に島麦かなさんを使っていただいています。

沖縄県うるま市石川で純沖縄県産のブランド黒毛和牛「山城牛(やましろぎゅう)」を生産する「山城畜産」は、A5A4ランクの肉用牛を安定的に生産する技術で県内屈指の実力を誇る農家。あっさりクセのない味わいと肉質の柔らかさに定評があり、品評会でも数々の賞を受賞しています。

生産者紹介09. 高江洲製塩所 高江洲優さん(沖縄・うるま市勝連) – うるマルシェ (urumarche.com)これは、ふるさと納税返礼品の人気ランキング第一位 

4.所感

うるマルシェはチェリーランドやJAアグリランドにもない魅力がたくさんある施設でした。感じたことを率直に述べたいと思います。
私は、2024年6月6日の6月定例会本会議一般質問で、県産果樹の情報発信施設として県が進めようとしていたフルーツ・ステーション整備計画(素案)の見直しによる影響について、市長に本市の立場を質しました。県では、消費者に実際に本市をはじめ県内のフルーツ産地を訪れてもらい、農業体験や旬のフルーツを使ったスイーツなど様々なフルーツの楽しみ方や、それを通した産地・生産者との交流等を経験する「フルーツ・ツーリズム」を推進しています。 本県の「フルーツ・ツーリズム」の推進に当たっては、県内の果樹園や飲食店を始めとしたフルーツを楽しむための目的地が充実し、魅力的であることが重要です。山形県の旬のフルーツやその加工品を飲食することはもちろん、収穫や加工の体験、栽培方法や歴史の学び、生産者との交流など、山形でしか味わえない様々なフルーツ体験ができる場所を創出することによって、観光客に地域のフルーツを深く知ってもらい、ファンになってもらうことを目指しています。このため、フルーツを楽しめる様々なサービスやイベントが提供され、特にその地域の特産フルーツについて理解を深めることができる誘客と情報発信の場を「フルーツ・ステーション」と位置付け、県内各地の「フルーツ・ステーション」を巡る観光旅行の促進に取り組む計画でした。
こうした動きを通して、さくらんぼを始め、西洋なし、すいかやメロン、もも、柿など、地域を代表する主要なフルーツを発信する場が県内各地に広がり、ネットワークを形づくることで、あたかも県全体がフルーツをテーマにした「体験型ミュージアム」のように、県内の季節ごとの様々なフルーツを認知する場として機能し、消費の拡大と産地への回遊に寄与することが期待されます。ステーションは、県内各地で、既存施設の機能拡充や、期間限定での設置といった、多様な形態で設置されることを想定します。設置や運営も、官民を問わず、創意工夫を活かして誘客や情報発信を行う意欲のある主体が担うことが期待されます。山形県での「フルーツ・ツーリズム」を通した様々な体験価値を通じて旅行者が山形のフルーツのファンとなり、自ら発信することによって、「フルーツを楽しむなら山形県」というブランディングが強化されることが期待されます。
県では、フルーツを消費地で購入するだけでなく、実際に山形県の産地を訪れ、農業体験や旬のフルーツを使ったスイーツなど様々なフルーツの楽しみ方や、生産者との交流等を経験できる、山形のフルーツ産地ならではの観光の仕方、いわゆるフルーツツーリズムを推進してきました。具体的には、「さくらんぼを核とする県産フルーツの情報発信実行計画」に基づき、消費者が本県を訪れ、様々なフルーツの楽しみ方や生産者との交流を経験する「フルーツツーリズム」の推進と、その目的地となる「フルーツ・ステーション」の県内各地域への創出とネットワーク化に向けて取り組んでいます。その一つに、県内各地域の資源や人材を活かしたフルーツ・ステーション創出の取組みを促進するため、各地域でのフルーツ・ツーリズムの活性化やフルーツ・ステーションの創出とネットワーク化について検討を行う場として「フルーツ・ステーションネットワーク推進プラットフォームを設置する計画でした。
こうした計画が、残念ながら白紙になってしまったことは、実に、県民から期待されていた取り組みに対する本市へのマイナスの影響が計り知れないと思います。さくらんぼ会館のリニューアル整備に向けて、今回の視察は非常にタイムリーなものになりました。今回視察をさせていただいて、さらに強く感じたところです。特に、うるマルシェのキッチンスタジオや畜産物お魚などの海産物の全量買い付け、ふるさと納税返礼品人気第1位の塩などたくさん学んだことを、今後執行部に提言させていただく予定でございます。

5.むすびに

今回の行政視察地となった沖縄訪問は、人生で2回目の有意義なものとなりました。特に、うるま市うるマルシェを視察させていただき、先進的な取り組みによって大きな成果を挙げられていることは、本市の農林水産業、商工業、観光業および本市全体の理想となる契約栽培や全量買い付けなどの振興策は、大変勉強になりました。
最後になりましたが、うるま市議会事務局様、生産振興課様、商工振興課様、観光イベント課様およびうるマルシェ指定管理者㈱ファーマーズマーケット様には、大変御多忙のところ快く受け入れをいただきましたこと、衷心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

うるま市議会事務局様、生産振興課様、商工振興課様、観光イベント課様
およびうるマルシェ指定管理者㈱ファーマーズマーケット様にごあいさつする視察団