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寒河江市議会寒河江市議会議員
渡辺けんいち
笑顔の花咲き、
 ひとといのちが輝く 
  温もりのまち 寒河江
視察研修先
埼玉県久喜市
視察研修項目
「久喜市議会ハラスメント防止条例」について

1.はじめに

 久喜市(くきし)は埼玉県北東部に位置し、東京都心から約50kmの距離にあります。市域は東西約15.6km、南北約13.2km、面積は82.41平方キロメートルで、関東平野の加須低地・中川低地に広がる平坦な土地が中心ですが、久喜地区、栗橋地区、鷲宮地区には微高地もあります。市内を利根川や元荒川が流れ、交通面では東北自動車道や圏央道、JR宇都宮線、東武伊勢崎線・日光線が通り、久喜駅や栗橋駅など複数の駅が市民の移動を支えています。
久喜市の歴史は古く、縄文時代の遺跡が市内で確認されており、江戸時代には市場町として発展しました。16世紀には古河公方足利政氏の隠居館跡である甘棠院が開かれ、江戸時代には日光街道沿いの宿場町として栄えました。1954年に久喜町と周辺村が合併し、1971年に市制施行、2010年には菖蒲町、栗橋町、鷲宮町と合併して現在の久喜市が誕生しました。
農業も盛んで、梨や苺、小麦などが特産品です。特に久喜市は埼玉ナシの主産地の一つで、地元の小麦を使ったうどんも名物です。また、伝統的な和菓子「塩あんびん」も久喜市の特色です。

【資料】

直近の推計人口
146,928人 (2026年9月末)
一般会計
85,130千円 2026年度当初
議員定数
27人(4月の選挙には40人が立候補した)
市議会だより(令和8年度発行)

2.視察目的と内容

一般に「ハラスメント防止法」と呼ばれるものは、1つの独立した法律ではなく、主に以下の法律によるハラスメント防止規定の総称です。主な対象は、パワーハラスメント(パワハラ)労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)で、事業主に職場でのパワハラ防止措置を義務付けています。また、セクシュアルハラスメント(セクハラ)については、男女雇用機会均等法で事業主に防止措置が義務付けられています。さらに、マタニティハラスメント・育児介護ハラスメントについては、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法において、妊娠・出産・育児休業等を理由とした嫌がらせや不利益取扱いの防止を求めています。
パワハラの定義については、職場で次の3つをすべて満たす場合とされています。
① 優越的な関係を背景とした言動
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
③ 労働者の就業環境が害されるものです。なお、適正な業務指導や指示はパワハラに該当しません。
次に、会社に求められる対応として事業主は次のような措置を講じる必要があります。①ハラスメント禁止方針の明確化と周知②相談窓口の設置③相談があった場合の事実確認④被害者への配慮⑤行為者への適切な措置⑥再発防止⑦プライバシー保護⑧相談したことを理由とする不利益取扱いの禁止などです。違反すると、パワハラ行為そのものに対する直接の刑事罰はありませんが、行政による指導や勧告の対象となり、企業が勧告に従わない場合は公表されることがあります。
本市議会でも、パワハラ事案はないものの、こうした近年のハラスメント未然防止のためにハラスメント対策が求められているため、先進的な取り組みを行っている久喜市議会を視察し、現在の状況を学ばせていただくことを議会運営委員会協議会において議論してきました。事前に、質問事項をまとめ、当日に質疑応答でご回答いただき、今後の取り組みをご教示いただきました。

市議会ハラスメントアンケート調査実施

久喜市議会では、市議会議員におけるハラスメント防止等の取組みを議論するため、議員及び市職員(会計年度任用職員を含む)へのハラスメント調査を実施しました。2025年3月に結果がまとまり、ホームページで公表されています。
なお、このアンケート結果を受け、現在、議員間でハラスメント防止等に向けた取組 みについて議論しています。

1 アンケートの対象者

(1)市議会議員
(2)正規職員
(3)会計年度任用職員

2 アンケートの実施期間

2024年12月16日から12月27日

3 アンケートの実施方法

(1)LINEWORKS内のアンケート機能による回答
(2)職員ポータル内のアンケート機能による回答
(3)紙媒体による回答

4 回答数

(1) 議員23人(対象 25人中。回答率92.0%)
(2) 職員757人(対象993人中。回答率76.2%)
(3) 会計年度任用職員442人(対象697人中。回答率63.4%)

5 詳細結果

(1)議員向けアンケート結果
(2)正規職員向けアンケート結果
(3)会計年度任用職員向けアンケート結果
全てホームページにて公開されています。

【写真】議場全景 ホームページより転載 
※職員向けアンケート結果の抜粋
問7 どのようなハラスメントでしたか。(複数回答可能)
威圧的・高圧的な言動や態度をされた17 
対応や回答を罵倒された(本会議中及び委員会中を除く) 3
執拗に質問や批判を繰り返された3
大声で𠮟責された7
必要以上に長時間拘束された1
意に沿わない対応に叱責された13
長時間拘束された3
理不尽な謝罪を要求された2
人格を否定する発言をされた1
個人を攻撃する発言をされた3
挨拶や話しかけを無視された12
長時間の準備が必要な資料の提供を強要された6
憶測で批判された7
プライベートのことを執拗に聞かれた1 
容姿や身体的特徴について発言された1
問13 ハラスメントを防止するために望むことはありますか。(複数回答可能)
議員のハラスメントに関する意識改革393
ハラスメントに関する第三者機関の設置240
ハラスメントの相談・苦情窓口の設置222
実効性のある規定の整備196
被害者から守られる体制づくり298
ハラスメントの問題発生時の迅速な対応173
ハラスメント研修の実施126
面談時の録音の許可206
【写真】久喜市議会春山議長より説明を受ける議会運営委員会

寒河江市議会行政視察 事前質問に対する回答
① 議員及び職員に対して「市議会議員からのハラスメントに関する実態調査アンケート」を実施するに至った背景についてご教示ください。
A 当市議会の議会運営委員会の行政視察において、他市議会の「ハラスメント防止条例」制定の取組みを学んだこと。
また、全国的に議員や首長等のハラスメント報道がたびたびされていることを踏まえ、本市においても現状を把握する必要があるのではとの提案が議員からあり、実施に至りました。

② アンケートの結果を受け、議員間でハラスメント防止等に向けた取組を議論したとありますが、「議員間」とは全議員なのか一部の議員なのか、また重点的に議論した内容はどんな事でしょうか。
A ハラスメント防止に関する取組については、会派代表者会議において協議することを決定しており、議論はこのメンバーで行われましたが、全議員が傍聴可能であったため、議論の内容は共有されておりました。
重点的に議論した内容としては、ハラスメントを起こさないために何が必要かという視点で議論を行いました。

③ 条例第5条に基づく相談・申立て窓口は具体的にどこに設置され、どのような体制で運用されていますか。
A 運用指針において、相談・申立て窓口は議会事務局に置くこととしており、担当者については基本局長としております。
そのため、相談・申立てがあった際は、局長が話を聞き、記録を取り、速やかに議長に報告することとなっています。

④ 条例施行から現在までの相談・申立て件数とその内容についてご教示ください。(情報提供できる範囲で結構です。)
A 現時点での相談及び申立ての件数がございません。

⑤ 条例第6条で示している調査委員会と第三者委員会の設置基準の区別と現在までの設置事例についてご教示ください。
A ハラスメントの相談または申立てを受けた段階で、会派の代表者を招集し、 内容の共有と対応について協議することとしています。その協議の中で、議員で構成する調査委員会での解決が可能か、専門的知見を持った方々による第三者委員会に委ねるべきかの協議を行い、どちらを設置するか決定します。
調査委員会を設置し、調査の途中で、調査委員会では手に負えないと判断した場合は、第三者委員会に移行することも考えられます。

⑥ 第三者委員会の委員は「ハラスメントに関する専門的知識又は識見を有する者」とされていますが、具体的な属性(弁護士等)、報酬・守秘義務等を定めていますか。
A 事前に定めておりません。相談または申立ての内容に応じて、専門的知識を有する方は違うものと考えており、その内容に応じた方に依頼、契約を結ぶことを考えており、契約の中で、報酬や守秘義務等を定める予定です。

⑦ 条例第12条に関して、条例の運用状況を定期的に検証・公表する仕組みをどのように整備していますか。
A ハラスメントに関しては、現在において様々なものがあり、また今後において、新たなものや考え方、法整備など、時代とともに変わっていくものと考えます。条例そのものの改正はなかなかないと考えるが、運用に関しては、時代とともに改正していくことが必要であり、その改正、変更に速やかに対応するため、運用指針としています。そのため、議員より改正の必要性や疑義が生じた際には、速やかに代表者会議において協議することとしています。

⑧ 議員向けにハラスメント防止関連の研修等を実施していますか。
A 運用指針において、「議長は毎年度1回以上、全議員を対象としたハラスメント防止研修を実施するよう努める。」こととしております。条例制定後において、直接的はハラスメント研修ではなく、「アンコンシャスバイアス」の研修を実施しました。

⑨ 条例の制定について、議員・職員・市民はどのように評価していますか。
A 直接、議会事務局に職員や市民の方々からご連絡をいただいていないため、評価についてのお答えは、難しいですが、議員及び職員のアンケート結果にハラスメントを防止するために望むこととして、「実効性のある規定の整備」を挙げた方が相当数いらっしゃることから、ある程度評価していただいているものと考えております。

⑩ 条例施行後に感じた新たな課題や今後の展望についてご教示ください。
A まだ相談や申立てを受けていないため、現時点では課題等はないところですが、説明の最後にお伝えしました通り、ハラスメントのない議会をつくることが、目標でありますので、この条例を常に意識し、議員一人一人が議員や職員の人格を尊重し、行動していただいているものと理解をしております。

1 久喜市議会ハラスメント防止条例の概要

久喜市議会ハラスメント防止条例
 (前文)
議員は市民の負託を受けた代表者であることから、市政に携わる権能と責務を深く自覚し、地方自治の本旨を体現するとともに、住民の全体の奉仕者として住民の福祉向上に努めなければならない。ハラスメントは基本的人権、個人の尊厳を著しく傷つける悪質な人権侵害であり、業務への支障につながり、ひいては市民サービスを低下させるものである。したがって市民のみならず社会からの信用及び信頼を失うこととなる。よって、久喜市議会(以下「議会」という。)は、議員及び議会としての役割を十分発揮するため、互いに人権を尊重し相互信頼を深めることを通じて、議員によるハラスメントの根絶と未然防止をすることにより、市民から信頼される議会の実現に資することを決意し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、議員間及び議員による職員に対するハラスメントを根絶し、
及び未然に防止することを目的とする。第2条以下、略

1 久喜市議会ハラスメント防止条例の概要

久喜市議会ハラスメント防止条例
(前文)
議員は市民の負託を受けた代表者であることから、市政に携わる権能と責務を深く自覚し、地方自治の本旨を体現するとともに、住民の全体の奉仕者として住民の福祉向上に努めなければならない。ハラスメントは基本的人権、個人の尊厳を著しく傷つける悪質な人権侵害であり、業務への支障につながり、ひいては市民サービスを低下させるものである。したがって市民のみならず社会からの信用及び信頼を失うこととなる。よって、久喜市議会(以下「議会」という。)は、議員及び議会としての役割を十分発揮するため、互いに人権を尊重し相互信頼を深めることを通じて、議員によるハラスメントの根絶と未然防止をすることにより、市民から信頼される議会の実現に資することを決意し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、議員間及び議員による職員に対するハラスメントを根絶し、
及び未然に防止することを目的とする。第2条以下、略

2 制定経緯や議論等(質問1)

❶制定の背景・必要性
議会運営委員会の行政視察において、先進地の条例制定を勉強された。
その後、市議会会派代表者会議は実際に「職員への議員からのハラスメント事案」のアンケート調査を実施し、実名でのアンケート結果を共有し、条例化に至った。 アンケート実施のきっかけは、議会の発議で、実名記名方式、回収率も非常に高かった。
❷議員間の議論(質問2)
会派代表者会議では、全員でやらないと意味がない条例なので、そのプロセスが重要となり、ハラスメントを起こさないことが最大の目的として、条例化を目指してきた。
❸職員・議員・市民の評価は温度差(質問3・4)
「議員が自分たちを縛る条例を作った」という評価はどうだったか、と非常にデリケートな部分に対して、申し立て、相談窓口を設置して、議会事務局長に一本化してきた。
❺ 制度の骨子(質問5・6)
(事実関係の調査等)
第6条 議長は、前条に基づく相談及び申立てを受けたとき又は議員によるハラスメントの疑いが生じたときは、速やかに各会派の代表者からなる調査委員会又はハラスメントに関する専門的知識又は識見を有する者からなる第三者委員会を設置して調査を行い、当該事案に係る事実関係を把握しなければならない。
(対応措置)
第7条 議長は、前条の規定による調査委員会又は第三者委員会の調査結果及び意見に基づき、ハラスメントを行った議員に対して指導、助言又は注意を行うものとする。
2 議長は、前条の規定による調査結果に基づき、とるべき必要な措置について検討するものとする。
3 前項の規定により再発防止措置が必要であると判断されたものは、議長が別に定める対策を講ずるものとする。
(公表等)
第8条 議長は、特に重大事案であると認めるときは、前条第2項に基づき、当該ハラスメントを行った議員の氏名を公表するとともに、必要な措置を講ずるものとする。
 以上が、具体的な内容ですが、重大事案について議員の氏名公表は、大変厳しいものとなっている。
❻運用実績と検証(質問6・7)
現在のところ、実績ゼロ。また、ハラスメントの防止及び根絶を図るために必要な研修等の実施について、専門的知見を有する外部の一番ふさわしい人を選抜していくことが課題。運用指針も固定するのではなく、その時々の状況に適合するよう柔軟に変えて改正していくことを考えている。
 (質問8・9・10)
 アンコンシャスバイアス研修を年1回実施しながら、条例を実効性あるものにしていくために不断の見直しや検証を行っている。
❼本市議会への示唆
本市議会においては、条例化に向けた議論を始めたばかりですが、今後議員で実態を踏まえた必要性を共有化し、議論を深めていかなければならない。

3.所感

 川内鮮輝副議長は、現在も陸上競技選手(長距離走・マラソン・ウルトラマラソン)で、かの有名な公務員ランナー川内優輝氏の長弟です。プロランナーから東京都国分寺市職員(生まれは東京都世田谷区 兄優輝氏と同じ時期より鷲宮地区在住)を経て、久喜市に移住し、市議会議員になったと春山議長よりお伺いしました。議会だよりにおいて、一般質問の内容を拝見しましたが、スポーツ振興で健康増進、スポーツ施設整備計画の推進について、建設的な提言をなさっておりました。
本市では、長岡山の寒河江公園内に多目的運動広場(陸上競技場)の建設が進められようとしており、元祖さくらんぼマラソンで50年の半世紀の悠久の歴史を刻んだ「さがえさくらんぼマラソン」も多くの先輩方の努力で続けれてきました。今後の発展に向けて、久喜マラソンと連携して、川内氏をゲストランナーとして招聘してはいかがでしょうか。我々スポーツ議員連盟も傍観者ではなく、是非さくらんぼランナーとして、大会サポーターとして参加したいところです。また、議員がスポーツマンとして、心地よい環境のもと、他人を思いやる議会活動によりハラスメント未然防止と撲滅につながっていくことを確信いたします。

4.むすびに

 この度の行政視察におきまして、大変ご多用中にもかかわらず快く受け入れていただきました久喜市議会春山議長、議会事務局長はじめ職員の皆様に衷心より感謝を申しあげます。ありがとうございました。

 【写真】 議会運営委員会 久喜市議会議場にて(筆者は左端)