1.はじめに
十日町市は、新潟県南部の長野県との県境、千曲川が信濃川と名前を変えて間もないところに位置します。東は南魚沼市、北は小千谷市、西は上越市、南は湯沢町、津南町などと接しています。東京からは約200キロメートル、新潟市からは約100キロメートルの地点にあります。市域の東西は31.4キロメートル、南北は41.1キロメートルの広がりをもち、面積は591.33平方キロメートルとなっています。
市の東側には魚沼丘陵、西側には東頸城丘陵の山々が連なっています。中央部には日本一の大河信濃川が南北に流れ、十日町盆地とともに雄大な河岸段丘が形成されています。また、西部中山間地域には渋海川が南北に流れ、流域には集落が点在し、棚田などにより美しい農山村の景観を呈しています。最南部は上信越高原国立公園の一角を占め、標高2,000メートル級の山岳地帯となっています。
十日町市では、多様な業種による経済活動が行われています。その中でも織物業は、1,500年の伝統を持ち、全国有数のきもの総合産地として発展を遂げてきました。近年では、きものの修正加工業、食品製造業、電気・電子関連部品や自動車部品製造業、情報サービス業などの分野が活発に活動しており、地元の経済を支えています。農業では、十日町産魚沼コシヒカリをはじめ、そば、アスパラガス、枝豆、雪下人参、ユリ、また徹底した衛生管理が特徴の妻有ポークなど、多彩な農畜産物が生産されています。また、きのこの生産も盛んであり、十日町市のなめこ・えのき茸の生産量は全国トップクラスで、特になめこは国内生産量の約15%を占め、全国一の実績を誇ります。近年では、ねぎ、かぼちゃなどの園芸作物の栽培や農山村であることを活かしたグリーンツーリズムへの対応、棚田を核とした地域振興など多様な活動を展開しています。
さらに、当間高原リゾートや大厳寺高原キャンプ場など豊かな自然環境に包まれたアウトドアフィールドを生かした観光誘客や、大地の芸術祭「越後妻有アートトリエンナーレ」の里として現代アートを活用したまちづくりなどに取り組み、交流人口・関係人口の拡大を進めています。
今回は、まつだい「農舞台」及び廃校を利用した美術館「鉢&田島征三・絵本と木の実の美術館」を視察させていただくとともに、芸術や文化を活かした地域づくりの先例を是非学習させていただきたいと思いました。また、今後10年以内に現在ある中学校10校を1校に統合再編することも予定されていることから、今後の廃校利用の考え方なども是非伺ってみたいと思い、胸を弾ませて十日町駅構内の文化観光課会議室に臨ませて頂いた次第であります。
2.視察内容
「人間は自然に内包される」を理念に、新潟県十日町地域の約762平方キロメートルの広大な土地を美術館に見立て、アーティストと地域住民とが協働し地域に根ざした作品を制作、継続的な地域展望を拓く活動を目的とする芸術祭である。大地の芸術祭は「交流人口の増加」「地域の情報発信」「地域の活性化」を主要目的としたアートプロジェクトである。題名にある「越後妻有」は、古くからこの地域が「妻有郷」と呼ばれたことに由来する。
大地の芸術祭は、地方創生のモデルとなっています。特に、アートによる地域づくりは、国内外の著名な芸術家が集落住民と交流を深めながら作品を制作し、地域住民が来訪者とともに交流できるものです。興味深い取り組みに、詳細にわたりご説明いただいた後、本常任委員会との質疑応答を行いました。
質疑応答(事前質問事項と回答など)
1 廃校利用で芸術祭の拠点となった経緯
2006年より空き家廃校プロジェクトを本格始動させ、「再び人が集まる場所」として思い出深い学校校舎を使って地域再生の核として出発させてきた。
2 芸術祭と結びつける場合の課題
① 地域住民との丁寧な対話と継続的な関係構築が重要
② 冬季休館の期間が長く、収益が限られる
③ 高齢化による担い手不足
3 「絵本と木の実の美術館」における合意形成のプロセス
① 芸術祭事務局(NPO法人 越後妻有里山協働機構)による地域住民との継続的な対話と同意
② 絵本作家 田島征三氏が集落の人々と共同作品制作
③ 「自分たちの学校が生きている」「自分たちも作った」という協働制作の合意形成と当事者意識の醸成
4 芸術施設化後の地域住民の反応 変化
① 集落に来場者が訪れ、活気が戻る
② 3年に一度開催されることへの期待
③ 「地域の誇り」として再認識される
5 校舎改装リノベーションの費用・財源及び指定管理料
① 財源は国庫補助金及び芸術祭基金を活用
② 設計委託費等と工事費で清津倉庫美術館は55,711千円、奴奈川キャンパスは9,834千円
③ 指定管理料は、清津倉庫美術館 今年度2,000千円 奴奈川キャンパス2,800千円
6 多くの来場者か来た時の対応と課題
① 運営スタッフ・ボランティア不足と地域の高齢化
② 交通・駐車場整備と案内不足
③ 特定施設への集中と回遊性不足
④ 宿泊客の地域外流出
⑤ 外国人観光客インバウンド向けの受け入れ体制遅れ
7 残された課題
① 持続的な財源確保 補助金中心から自主財源確保へ
② 人材育成・人材確保
③ 観光受入体制と経済効果拡大
④ 作品の老朽化
さらなる成長を目指し、第10回展を進めていくという力強い決意が固められている。素晴らしい取り組みであります。
【資料】大地の芸術祭オフィシャルツアー(バスツアー)
・小学・中学・高校生 11,000円
・幼児(3歳~5歳)3,000円
・3歳未満 0円
※食事・バス座席が必要な場合は幼児料金 (バス代、昼食代、ガイド代、消費税含む)
NPO 法人越後妻有里山協働機構
現地視察① まつだい「農舞台」
「都市と農村の交換」というテーマのもと、地域の資源を発掘し発信する総合文化施設。食、買い物、イベント、体験などのプログラムを通して、まつだいの雪国農耕文化を体感できる。 また、建物や部屋それ自体が、複数の作家がデザインしたアート作品になっており、館内を巡るだけで現代美術を体感できる。周辺に広がる里山には、草間彌生「花咲ける妻有」をはじめ、世界的なアーティストの作品が点在しており、里山の大地に映える色彩豊かな造形、現代アートの魅力を里山の四季と共に堪能できる。大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレの6つのエリアのひとつである「松代エリア」の拠点として観光客を集めている。南側にある城山をはじめ、周辺の屋外にも作品が数多く展示されており、2021年7月にはこれらを含めて『まつだい「農舞台」フィールドミュージアム』の名称でリニューアルオープンした。
現地視察② 廃校を利用美術館「鉢&田島征三・絵本と木の実の美術館」
絵本作家、美術家の田島征三が、自らの思い描いた物語を空間絵本として廃校になった十日町市立真田小学校の校舎に具現化した。絵本のタイトルは『学校はカラッポにならない』。真田小学校の最後の在校生3人を主人公に、流木や木の実、和紙を使ったオブジェで絵本の世界を表現している。美術館の位置する鉢集落では、第1回大地の芸術祭の頃からアーティストの積極的な呼び込みが行われてきた。
3.所感
本市では、市政70周年にちなんでまちなか芸術祭を行った歴史がある。当時の朝日新聞の記事を見つけました。(2024年10月4日朝日新聞より)
寒河江市の市制施行70周年を記念したアートイベント「SAGAEまちなか芸術祭」が9月27日から開かれ、アーティストと市内の伝統産業4企業がコラボした作品が街の各所に野外展示されるなど、街が普段とは違った顔を見せていた。
寒河江駅近くの「せせらぎ公園」では、園内の桜の木を、編んだ竹と草履のリボンで花束のように包んだ作品「wrap」が展示され、人と自然のつながりをテーマにするアーティストの長谷川仁さんと、手編み草履の製造・販売を手がける「軽部草履」とのコラボしたさく品で、女性職人の手仕事にインスピレーションを受けて制作した。
寒河江駅構内や市役所などにある立体作品「SAGAEカンシャノカタチ」は、くの字型の鉄の軀体(くたい)と畳が合体し、おじぎをしているような形が特徴。躯体は造形デザイナーの高橋綾さん、畳は「鏡畳店」の鏡芳昭さんが手がけた。「作品を通して畳の文化を伝えたい」と、作品の上部にあるQRコードを読み込むと「畳の豆知識」へつながる仕掛けがある。鏡さんは「こんな形の畳を作ったのは初めて。作るのが難しく、夢に見るほど悩んで技術革新が起きました」と振り返る。
その他、山形市の画家・小林舞香さんと、「渋谷鯉のぼり」のコラボ作品などもある。また、市中心部の店舗のショーウィンドーがギャラリーに見立てられ、市出身の写真家・鬼海弘雄さんらの作品が展示される。他にも、市内の各施設で市ゆかりのアーティストの個展や、市民による写真・絵画・書道展などが開催されている。
イベントのアドバイザーを務める県出身の彫刻家・松田重仁さんは「普段見慣れたものも、作家の視点では違ったものに見えたりする。こうした試みが新商品の開発や人との交流につながっていけば」と語る。
過去に参加した市民学習会では、和光大学の山本由美講師曰く 「学校の原風景」とは子どもの安定した感情の成長・発達に「原風景」が持つ意味があるとおっしゃいました。地域を奪われて「デラシネ(根無し草)」になって、過疎化が急速に進みます。子どもの成長・発達にとって地域と学校が果たす役割が特に大きいのです。統合によってストレスとなる地域住民、特に子どもの精神的健康度が重要と先生が強調されました。
これまで、市民の声に基づいてさまざまな反対意見や不安な声をまとめ、専門家の分析に基づいた計画の問題点について、何点か一般質問で質させていただきましたが、教育長答弁は、残念ながら市民が納得できる状況とはいいがたいものでした。超党派の議員同士でも温度差があることは否めませんが、子どもたちの明るい未来のためにも粘り強くこの問題に向き合わなければなりません。議員政策研究会の苦難の道でしょうか。
一方で、齋藤市長がめざす寒河江のまちづくり、ひとづくりについては、「人にやさしく、人が集い、賑わい、楽しみ、豊かに暮らせる活気あるまちづくり」を目指すもので、地域住民との合意を得た廃校利活用が当然必要だと思います。
「さがえっこの明日への希望を実感するまちづくり」に対し、本市の学校整備計画には、今後終了まで約20年という長期間であり、まちづくりとの連動、企業等と連携する学校、コミュニティ・スクールのさらなる進化を続けるため、さらなる体制強化が不可欠です。
期待される「まちなか芸術祭第2弾 トリエンナーレ寒河江」についても、財源の確保はもとより人員体制を補強し、組織強化を図って進めていくべきだと思います。また、廃校利用を見据え、地域の皆さんとの対話を進め、さらに、児童生徒の皆さんが作品制作に関われる機会を多く作っていただければ幸甚です。
4.むすびに
この度は、行政視察をさせていただくことができました。十日町市議会福崎副議長様、事務局長様はじめ事務局の星名様、そして担当課の産業観光部文化観光課 山岸参事様はじめ職員の方々に対しまして、お忙しいところ時間を割いていただきましたこと、衷心より厚く御礼申し上げる次第でございます。

